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くるっと逆さまに(vol.437/2010.04.28)

火曜日になると今でも思い出すことがあります。
それは入院病棟では、火曜日がシーツや布団カバーの取替え日だったこと。
要は週に1回しか、原則的には取り替えてもらえなかったのです。
(10年が経っているから今はもう少し頻繁かもしれませんし、
嘔吐や血で汚れれば勿論、すぐ換えて貰ってました)

病院内は適温が保たれているとはいえ、
1週間に1回の寝具のカバー取替えは
「ちょっとないんじゃないの?」と思いつつも
患者たちは、皆、我慢をしてました。
主には患者たちの対策は
家から大きなバスタオルを持ってきて、
掛け布団の顔があたるあたりを覆ったり、
シーツを背中部分に敷いたりしてました。
そしてそれらをコインランドリーでこまめに洗ったり、
家族に持って帰ってもらったりしてました。

でもやっぱり木綿のシーツやカバーが
体に触れる感触は懐かしくよいもので、
火曜に看護師さんに換えてもらうとほっとしてました。

あるとき、私はひらめいて
掛け布団を180度反対にしてみました。
そうすると顔にあたる感触が洗い立ての感触に近くて、
心ひそかに「3~4日経ったら布団移動」と決めて実行してました。

相部屋の中で、布団をうんしょうんしょと移動しているのは、
やはり目立つので、質問されましたので
私は「こうすると顔にあたる部分が気持ちよい」と言いました。
同室の人が皆、この私が発明(?)した布団の180度移動をやり始めました。

化学療法で熱が続き、体調が悪かったIさんには
私が時々やってあげました。
Iさんはすまなそうにしながらも
布団の位置をくるっと転換してぱさっとかぶせてあげると、
決まって笑顔で「ああー、気持ちいい」と言いました。
皆も口々に「いいね」~、気分が変わるね~」と言いました。
心なしか病室が明るくなった感じでした。

「病院はなにやってんだ」という皆の思いが、
ちょっと変わったような感じでした。

人間の暮らしとは、このようなものなのだと思います。
つまり、ひょいと天地を逆さまにすれば、
何もなかったようにして進んでいく。
生きていくということは、
くるっとひっくり返して、許していくことなのだと
そのとき、思いました。

太古の昔から、長老たちがどの民族でも言ってきたことが
私にも少しですがちらっとわかったような瞬間でした。

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