« シュレディンガーの猫(vol.477/2013.12.14) | トップページ | 人生の親戚(vol.479/2014.03.07) »

本当のコミュニケーション能力とは(vol.478/2014.01.06)

内田樹(たつる)氏という思想家であり武道家のことは
高校時代の友人との飲む席で数年前に初めて耳にした。

テレビには出てこない人だが調べて行くと、
毎月沢山の本を出版し、
自身のブログにも骨太の文章を無料で
(しかし相当に膨大なのだけど)読ませてくれるので
時々チェックするようになった。
先ほどしばらくぶりにまとめ読みをして、
ガツンと心に響いたものがあった。

それは「コミュニケーション能力とは何か?」

こうしたことを生業としている私なので
ちょっとやそっとのアプローチでは正直
「ふ~ん、そう~」くらいにしか反応しないのだけど
この人の視点は今回も
居住まいを正したくなるような示唆に満ちていた。

かいつまんで書くと、
内田氏が慣れないフランスの地方都市のあるスーパーで
マグカップを買い物をした際に、レジの店員が
何を言っているかわからない状況に遭遇した時のこと。
彼は身を乗り出して何度かゆっくりとたずねたら、
最終的に相手もゆっくりと噛みしめるように答えてくれた、
という出来事。

このことを通して内田先生が気づいたことは、

以下、引用。

↓↓

“コミュニケーション能力とは、
 コミュニケーションを円滑に進める力ではなく、
 コミュニケーションが不調に陥ったときに
 そこから抜け出す力だということである。”

なるほど~。

不調に陥った時にあきらめず、うやむやにせず、
恰好が悪くても時間がかかっても、
コミュニケーションの綱を手繰り寄せることこそが、
確かにコミュニケーション能力だ。

思い出すのは自分もこの内田流のコミュニケーション能力を
大変に発揮したと自分を褒めてやりたいことがある。
それは14年前の入院中に手術予定だったドクターが
突如変わる、と病院側から告げられた時だ。
詳しくは拙著「がんから教わるワンショットセラピー」
に書いているが、
とにかく当初のドクターにやってもらいたいと、
淡々とずっと言い続けた。
大学病院で決まったことは、
ましてや病院をやめたドクターが戻ってくることはないと断言されたが、
結果的には奇跡は起きた。
そのドクターは辞職した病院の手術室に戻って来た。
自身が決めたことを、
そしてシステムのルールを壊して応えてくれた、
このドクターに今でも私はものすごい感謝をしている。
誰が手術をしても同じだと言う人もいるが、
がん患者の心情というのは科学や統計では割り切れないのだ。

私はあの時確かにコミュニケーションのグリップを握ったし、
今でもその感触を覚えている。
そしてここぞという時はそのグリップを握り、
振りかざすことが出来る自分がいる、
という密かで確かな自信を持って生きている。

最後にもう一度、内田氏の文章を引用すると

“むしろ誤答を病的に恐れるあまり
 「想定外の事態」に遭遇すると、
 「何もしないでフリーズする」方を選ぶ。” のでなく、

時には

“「わかり合う」ためには「立場」が定める
 コードを適宜破ることが必要”

ということをしかと胸に刻んで、
今年もよき講座や仕事をしていきたい。

HPへ
ブログへ
情報ブログ「ワンセルフカードの広場」

|

« シュレディンガーの猫(vol.477/2013.12.14) | トップページ | 人生の親戚(vol.479/2014.03.07) »

心と体」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。