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刻印と生きる(vol.483/2014.07.19)

夏になると女性の水着姿や
胸元をクローズアップしたCMが増える。

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ここ数年は冷静に見れるようになってきたが
退院した当初はそんなのに遭遇すると不覚にも涙が流れていた。
だから安手の食堂でテレビがついていて、
人とランチなんてしていたら
それをごまかすのが大変だった。

数年が過ぎると無理にそれを避けるかのように
そういうのを見ると自分から取り留めもない話をしたり、
自室での一人テレビの時はチャンネルを乱暴に変え、
そんなものを製作する会社や人に勝手に腹を立てていた。

今は、というと、冷静でもないが
老人が子供を見るような気持ちで
半ばあきらめ、半ばまぶしく、
そうしたものを距離をもって見つめるようになった気がする。

そんなふうに心は少しは成長しても
切り取って陥没した胸は髪の毛のようには生えてこない。

宮沢賢治の『注文の多い料理店』に出てくる二人の紳士は
料理店の注文がおかしいことに途中で気づき、
命からがら東京に帰る。
そんな顛末をふとこの前、思い出した。
紙屑のようになった二人の顔だけは元に戻らなかった、
と確か書いてあった。
初めてこれを読んだ中学の頃、
なんともいえない怖しさを覚えたものだ。

確かに人は、とくに都会人は忘れっぽいのだ。
せっかく大切な体験をしたのに、
すぐ忘れたり、否定したり。
だから一生忘れることのないよう、刻印されたのだ。
私の乳がんもきっとそういうことではないか?と
思い至った。

刻印と生きるには少々生きにくい薄着の季節、
胸元があく洋服が相変わらず流行の夏が今年もやってきた。

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